深町純: 即興ライヴ!
深町純(pf)
あらかじめ用意されたテーマの中で演奏技術を誇示するいわゆるアドリブと異なり、深町純の即興演奏は、まったく準備がなされていない本当の即興で、その時の聴衆の反応やピアノのコンディション、そして彼自身の状態によって大きく異なってきます。よって「これが深町純の即興」だ、という典型的な演奏というものは存在しないのです。演奏の破綻を恐れず、時には瞑想的に、ある時は攻撃的にインスピレーションのすべてを聴衆にさらけだす深町純の姿勢にはいつも深い感銘を受けます。
即興演奏について 深町純
即興演奏に関して多くの人が尋ねる。「何故メロディーを考えながら伴奏も考えて、そのうえ弾くこともできるのですか?」と。そして僕はいつもこう答える。「おしゃべりと同じなのです」と。ふつう、人はおしゃべりをしているとき、次に何を言おうかなどと考えないものだ。そして言い間違うこともなく、テーマは次から次へと展開していく。ある時間を即興演奏で埋めるということは、このおしゃべりしていることに、とても似ていると思う。
子供の頃、母は毎晩枕元で「お話し」をしてくれ、僕はそれを聴きながら眠ったものだった。その「お話し」は既成の「お話し」ではなく、即興的に作られるオリジナルなものだった。その証拠に彼女は時に僕のリクエストに応えて、ストーリーを変更したり、やり直したり(元に戻る)してくれたからだ。
かつてヨーロッパには吟遊詩人がいたと言われる。彼は様々な場所、儀礼の場であったり祝祭の場であったり。そこで即興的な詩を詠ったのだろう。その基本的なストーリーや登場人物は伝統的なものであっても、即興の詩を詠ったといわれる。
この「物語る」ということも、即興演奏に似ている。たぶん平家物語などは、こうしたスタイルで受け継がれてきたのではないだろうか。では、これを「音語る」としてみよう。即興演奏とはこういうことをしているのだ、と言えるかもしれない。
録音: 2003年2月〜2004年1月、渋谷ステュディオ/アートカフェ1107におけるライヴ プロデューサー/エンジニア: イシカワカズ
試聴 (高音質MP3)
- 01. Late Summer(1.47MB)
- 02. Song of "Ra"(1.33MB)
- 03. Cutting(1.14MB)
- 04. Suspicious Night(1.31MB)
- 05. Blessing(1.18MB)
- 06. Waltz(1.10MB)
- 07. Love Story(1.36MB)
- 08. Oh, Spring!(1.44MB)
- 09. Gentle Hands(1.11MB)